対談者プロフィール
丸尾 勝一郎
歯学博士・日本口腔インプラント学会 口腔インプラント専門医。東京医科歯科大学大学院、ハーバード大学への留学を経て、国際的にも高い評価を受けるインプラント治療のスペシャリスト。
高木 健一
医療法人社団健誠会 理事長。全国10医院を運営し、独自の「良心的M&A」を提唱する経営者であり、現在も診療を行う現役の歯科医師。
本日は2024年にインプラント統括医として健誠会に加わりました、歯学博士・日本口腔インプラント学会 口腔インプラント専門医の丸尾 勝一郎さんをお招きして、お話を伺います。
現在もインプラント治療を中心に、審美・咬合治療など幅広い分野で臨床の第一線に立たれている丸尾先生が、健誠会グループに合流された理由やきっかけを、理事長の高木 健一とのインタビューの中で紐解いていきます。

1. 偶然の出会いと、印象が変わった瞬間
— まずは、お二人の出会いからお聞かせください。2023年にドイツの研修で偶然お会いしたのがきっかけだとか?
丸尾先生:そうなんです。ドイツのフランクフルト空港で、「あ、高木先生だ」と(笑)。ストローマンのフォーラムなどのご講演でお名前は存じ上げていたんですが、まさかドイツで一緒になるとは思いませんでした。
高木理事長:私の方は、シロナ社の機器を導入している縁で工場見学に招かれていたんです。急なスケジュール変更があって、結果的に丸尾先生たちのグループと3泊4日をご一緒することになった。これも何かのご縁だったんでしょうね。
丸尾先生:正直に申し上げると、最初は少し緊張していました(笑)。華やかな雰囲気の先生方を引き連れていらっしゃって、オーラのある方だなと。でも、一緒に食事をしたり、フリータイムでお話ししていくうちに、「見た目の印象とは違って、すごく気さくで、温かい先生だな」と感じるようになりました。
高木理事長:見た目はこうですが(笑)、私も丸尾先生がインプラント治療の第一人者であることは存じていました。実際にディスカッションしてみて、やはりこの方は本物だ、学び続けている方だと改めて実感しましたね。
2. 「経営者」と「臨床医」——二つの役割の狭間で
— 帰国後、丸尾先生が実際に健誠会のクリニックを見学に行かれたのが、大きな転機になったそうですね。
丸尾先生:ええ。2024年の年明け早々に愛知へ伺いました。驚いたのは、高木先生がどのクリニックに行ってもスタッフに慕われていることでした。「理事長が来られた」という緊張感ではなく、スタッフの皆さんが自然体で接している。どの医院も雰囲気が良く、システムが丁寧に整えられていたのが印象的でした。
高木理事長:丸尾先生のような高度な技術をお持ちの先生は、本来であれば臨床に時間を割きたいはずです。しかし、開業医としてやっていくには、集患も人事も、都内の高い家賃の支払いも考えなければいけない。丸尾先生のお話を伺っていて、「もったいないな」と感じたんです。
丸尾先生:本当にその通りで……。当時は治療よりも、経営に向き合う時間の方が圧倒的に多かったんです。東京都内で開業していると、常に周辺医院との差別化を意識しなければなりません。スタッフへの待遇改善や福利厚生を充実させたいと思っても、一つのクリニックの規模では限界がある。「自分は本当にやりたい医療ができているのだろうか」という問いを、自分自身に投げかけることもありました。
3. 「良心的M&A」——買収ではなく、志の継承
— そこで、健誠会へのグループ参画という話が出てきたわけですが、丸尾先生に迷いはありませんでしたか?
丸尾先生:もちろん、ありました。長年築いてきたクリニックやスタッフを譲るという決断には、慎重にならざるを得ない部分もあったのは事実です。ただ、高木先生と何度も対話を重ねる中で、「医院を手放すのではなく、自分の技術や理念をより大きなステージで活かしていただける機会なんだ」と捉えられるようになりました。
高木理事長:私は以前から「良心的M&A」という言葉を大切にしているのですが、歯科医師の先生方が人生をかけて築いてこられた医院を、ただ数字で評価して吸収するようなことはしたくない。先生の個性や技術、そして培われてきた医院の文化を尊重したまま、経営や人事といった管理業務を私たちが引き受ける。いわば「共同体」として歩んでいく形です。
丸尾先生:「インプラント治療に専念してください」と言っていただけたのは、本当にありがたかったですね。高木先生は「マネジメントは私の得意分野です。丸尾先生は日本でも指折りのインプラント技術をお持ちなのだから、それを後世に残してほしい」と仰ってくださった。そのような視点で評価していただけたことが、決断の後押しになりました。
4. スタッフの不安をどう解消したか
— 多くの院長先生が一番心配されるのが、譲渡後の「スタッフの動揺」です。このあたりはどう乗り越えたのでしょうか。
丸尾先生:私もそこが一番の懸念でした。「私たちの働く環境はどう変わるのですか」とスタッフから不安の声が出るのではないかと。しかし、スタッフ向けの説明会に高木先生が直接足を運んでくださって、一人ひとりと丁寧に対話してくださいました。
高木理事長:最初は警戒されていた部分もあったかもしれません(笑)。でも、一人ひとりとしっかり向き合うことを大切にしました。健誠会に参画することで、給与体系や雇用条件はより安定し、福利厚生も充実します。何より、院長一人に依存するリスクがなくなる。「今いらっしゃる方々を大切にし、それぞれの強みを伸ばしていく」という姿勢を丁寧にお伝えしたら、皆さん納得してくださいました。
丸尾先生:高木先生は本当に細やかな方で、あれだけ多忙なのに現場のスタッフ一人ひとりと向き合う時間を惜しまない。その姿勢を見て、スタッフも「この法人なら信頼できる」と感じてくれたんだと思います。参画から一年経った今では、大阪や愛知などのクリニックへもインプラント治療のため伺いますが、私の治療をサポートするチームが整っていて、安心して治療に集中できる環境が整っています。
5. 経営を託した先にあった、新しい歯科医師人生
— 実際に参画されてから、環境は具体的にどう変わりましたか?
丸尾先生:インプラント治療の件数は、大幅に増えました。スケジュールは確かに充実していますが、とにかく治療そのものに集中できる。自分でも「まだ技術を高められる余地があったんだ」と新たな発見があります。経営のプレッシャーから解放されて、純粋に臨床医としてワクワクする日々が戻ってきました。
高木理事長:丸尾先生は40代。今、最も技術が充実している時期に、事務作業や資金繰りで時間を消費するのは、業界全体にとっても損失だと思うんです。私たちには患者様との接点を広げる力があり、カウンセリングから検査まで支えるスタッフもいる。先生にはその頂点で、最高のパフォーマンスを発揮していただく。これがお互いにとっての理想形だと考えています。
6. M&Aを検討する院長先生へのメッセージ
— 最後に、今後の展望や、譲渡を検討している院長先生へメッセージをお願いします。
丸尾先生:M&Aは決してマイナスの選択ではありません。信頼できるパートナーと組むことで、1+1が3にも4にもなる。将来への不安を抱えながら一人で抱え込むよりも、自分の「本当にやりたいこと」を最大化できる道があるということを、ぜひ知っていただきたいですね。
高木理事長:もし、「どう進むべきか悩んでいる」「自分の技術や理念を次世代に残したい」とお考えなら、まずは一度お話しさせてください。私は、先生方ご自身も気づいていない「光る部分」を見つけ、それを最大限に活かすサポートをするのが得意です。お金だけの関係ではない、志を共にするチームをこれからも築いていきたいと思っています。

今回はインプラント治療のスペシャリストである丸尾先生と、健誠会理事長の高木先生との対談を通じて、お二人の出会いや健誠会への参画前後の変化、そして歯科医院経営に対する考え方をお伺いしました。どちらも現場の治療に携わりながら医院経営の経験をお持ちの現役歯科医師だからこそ、お互いへの深い理解と敬意を感じることができました。
マネジメントの負担を軽減したい、経営を安定化させたい、あるいはご自身の技術をより多くの患者様に届けたいといった歯科医院経営のお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。